心の涙

鉛筆を削って自湯に口をつける。
あたたかみが喉を通り腹に落ちてゆく。
少し丸みの残る鉛筆で原稿用紙に丁寧に文字を連ねていく、朝。
書く時間を持てるかどうかが私の有無だ。
心の涙をきけ。
きみは書きたいと言った。
ここにぼくはいる。
どれほど人の役に立とうとも、
どんなに金を稼ごうと、
私のいない人生に、生きる輝きなどありやしない。
ほんのり目の痛みが残っている。
仕事で使われすぎた眼精疲労。
まず癒すところからはじめたい。
書くことが、それを可能にする。
じんわり胸が熱を帯びてきた。
これは自湯の滲みだろうが。
私のささいな復活だろうか。
人生に、新しい陽が昇り出したのだろうか。


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