『百年の孤独』

 『百年の孤独』が読み終わった! 長かった。今まで読んだ本で通読に一時間がかかったと思う。ブエンディア一族に起きる様々な出来事が圧縮度の極めて高い文体で書かれるからだろう。

 とんでもないことや死や愛が淡々と猛烈なスピードで進む。すると、文庫本六百ページ超のほぼ改行が無い文量がどれほどのエピソードを内包するか。

 「色んなことがあったな」という表現を選びたくなる感慨がこれほど生まれる物語があろうか。

 それぞれが特別で個性的だが、どこか先代と同じような傾向も生じてしまう宿命性もまた見られる。「差異と反復」(ジル・ドゥルーズ)。

 この記憶は独自のものとして僕の記憶の一部を占め続けそうだ。それは作家小川哲が帯に書いたように、小説はこれほど自由でよいのだと教えてくれた印象としてである。

 色々やっていいのだ。本当に。

 僕らの日々の生活も、またこのように執拗で不条理で、魅力的な出来事として、メルキアデスの書いた巻き物に描かれているのかもしれぬ。

2024.11.28(木)〈『百日の孤独』19日目〉


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